猫背について
猫背のメリットは何一つない
猫背とは猫のように背骨が丸くなった状態です。猫の場合は猫背であっても柔軟性もあり身体能力も高いのですが、人間の場合は長年の猫背によって身体はカチコチになり、多くの不調の原因にもなり、メリットは全くありません。
不良姿勢がもたらす慢性痛や不調
事故や骨折など急激に生じた痛みは別として、ある期間に渡りなんとなく関節が痛いといった慢性痛に悩んでいる方も多くいらっしゃいます。じわっと重だるく不快な痛みであることが特徴的で場所によってはしびれなどを伴うこともあります。特に首や肩、腰、ひざの痛みが多いです。
また、中高年はホルモンバランスが崩れる更年期の時期でもあります。更年期による自律神経の乱れで苦しむことも多いでしょう。
これらの痛みや不調の原因は様々ですが、長年にわたる猫背が原因になっていることがあります。
姿勢にはクセがある
猫背のデメリットは分かっていただけたかと思いますが、では猫背の人に「猫背だから」姿勢をよくしたほうがいいよ、とアドバイスをしたとしても、一瞬はまっすぐにすることはできても1分もすれば元に戻ってしまいます。
人は姿勢のことばかりを考えて生きているわけではありません。生活や人生にまつわる色々なことを考えてバタバタしているうちに自分の楽な姿勢に戻っていきます。猫背の人なら猫背に戻ってしまいます。それがクセです。
不良姿勢を治すには意識的にトレーニングするべき
クセはなかなか治せません。つまり”意識的に姿勢を伸ばす”という手法には限界があります。ではどうすれば良いのでしょうか?それは、無意識の時でも良い姿勢がとれるという状態を目指すことです。
そのためには、縮んだ筋肉を伸ばして、弱い筋肉を鍛えます。そして、先程説明したようにちょっとやったくらいではクセで元に戻ってしまうので、何日もかけてしつこく行う必要があります。そうすることで少しずつ理想の姿勢に近づけることができるのです。
では猫背にフォーカスしてみましょう。
猫背から生じる不調
昔「都会に人には猫背が多い」と聞いたことがあります。その時代にはスマホはありませんでしたが、現代においてはもっと増えているかもしれないし、都会に限らず世界規模で猫背は増えているかもしれません。猫背が原因となりうる不調は多岐にわたります。
五十肩
中高年ごろから急激に増えてくるいわゆる五十肩。医学界では肩関節周囲炎といいます。きっかけは直接的な心当たりがないのに急に痛くなる人、電車のつり革を持ってて痛くなった人など、様々です。
「肩と猫背なんて関係ない!」
といった声が聞こえてきそうですが、大ありです。まず肩が最大限に動くためには肩甲骨も一緒に動く必要があります。
わかりやすい動画があったので、見てみましょう。難しいことは考えずに肩甲骨を見てみると腕の動きに伴って肩甲骨も動いているのが分かります。それも結構動いていますよね。肩甲骨は肋骨の上に乗っかっている感じで、スライドする感じで動いています。
この骸骨さんは猫背ではないので良いのですが、これが猫背だった場合、背骨と肋骨が丸くなってしまい肩甲骨がスムーズに動かないことが想像できると思います。
試しに鏡を見ながら、思いきり猫背で腕を最大限に上げてみてください。今度は背中を伸ばして腕を最大限に上げみましょう。違いは歴然ですね。腕がしっかりと上がるためには肩甲骨の動きと腕の動きの両方が必要になります。肩甲骨がスムーズに動かないと、肩関節に負担がかかり痛みが生じるのです。
五十肩と間違われやすい胸郭出口症候群
腕のしびれや痛みを伴うようであれば、五十肩ではなく胸郭出口症候群の可能性があります。
わかりやすく簡潔に説明している動画がありました。要するに首から腕にかけて神経が走っていて、それが首の筋肉や胸の筋肉に圧迫されてしびれや痛みが生じるのです。
原因は様々で猫背だけが原因ではありませんが、猫背も含む不良姿勢の人が多いのは確かです。
ストレートネック
首は通常少し弯曲していますが、猫背になることで弯曲が消えストレートネックの状態になります。すると首の筋肉に余計な負担がかかって肩こりになったり、首周辺の神経を圧迫してしびれだでたりします。
参考:「あなたのストレートネックの重症度は?」レベル別チェックと対処法
自律神経(副交感神経)もある胸椎
胸椎には自律神経(副交感神経)が走っています。自律神経は、生きるために必要な機能を自動的に調整してくれている神経です。自律神経があるから眠っていて意識のない間であっても滞りなく生き続けることができますし、リラックスしたり興奮したりすることもできます。
胸椎にはリラックスに関係する副交感神経が走行しているのです。つまり、猫背になって血液が滞ると副交感神経がうまく働かなくなり、不眠やイライラに繋がります。
呼吸が浅くなる
呼吸も自律神経の支配を受けています。副交感神経が優位になると、リラックスしたゆっくりとした呼吸になります。副交感神経にうまく切り替えられないということは、浅く荒い呼吸のままになってしまいます。
また、猫背による物理的な影響もあります。息を吸う時、横隔膜は下がり胸郭は広がります。吐くときは戻っていきます。猫背によって胸郭が固くなると呼吸によって胸郭が広がりにくくなり、余計に浅い呼吸になってしまうのです。
呼吸が浅くなると、呼吸苦を感じたり緊張状態が続いてリラックスできないという悪循環に陥ります。
百害あって一理もない→猫背は改善するに限る
猫背だけでもいかに不調の原因になりうるかお分かりいただけたでしょうか。肩が痛い人はもちろん、首の痛みや呼吸が浅いといった自覚がある人は特に猫背対策が有効なのです。
私って猫背!?まずはセルフチェック
多くの人は自分が不良姿勢であることをあまり意識していません。不思議なことに自分では『これが真ん中だろう』と思いながら過ごしいてることも多いのです。意識しながら客観的に自分の姿勢を見直すことが必要です。
巻き肩になっているか
チェック法は簡単です。鏡を使って巻き肩になっているかを見ます。この時力を入れずに楽な姿勢を取ることが大切です。巻き肩とは肩の部分が前にでている状態です。これは仰向けでもチェックできます。仰向けで肩が浮くようなら巻き肩決定です。ちなみに仰向けで努力しても肩をベッド面につけられないようなら、筋金入りです。
ついでに首もチェックしてみるとよいでしょう。顔が前にでているようだっら、ストレートネックになっているかもしれません。
猫背で縮む部分と弱くなる筋肉
縮むのは胸の筋肉〜腹筋
猫背の人は大胸筋という胸の筋肉が縮みやすいです。いわゆる巻き肩の状態になります。腹筋は肋骨の下のから股関節あたりまであります。腹筋の特に上の方は猫背によって縮みやすい状態と言えます。
これらの縮んだ筋肉はストレッチで伸ばす必要があります。
弱くなるのは背筋
一方弱くなるのは肩甲骨付近の背筋です。首の後ろの筋肉も正しく使えていない場合が多いです。
これらの筋肉は動かすことによって鍛える必要があります。
猫背を改善するための運動 〜動画集〜
筆者が厳選した有益な動画を集めました。参考にしてみてください。
胸を張るためのストレッチ
まずは縮んだ大胸筋をストレッチしましょう。参考になる動画を集めました。少しハードなものもあります。負荷の軽いものから行ってみましょう。
ストレートネックのためのストレッチ
切っても切り離せないのでストレートネックのためのストレッチもご紹介しておきます。首は神経が多い場所なのでゆっくりと行いましょう。
猫背解消のための筋トレ
ストレッチを終えたら、今度は筋トレです。簡単なものから少しずつ行いましょう。簡単なものから並べます。